部屋から出る事はありません

雨がしゃんしゃんしゃんしゃん降っております。
昨日も雨、おとといも雨、その前からずっと雨。こんな日はどこにも行かず、おうちにこもってひたすらモニターを見つめてエッチ動画を見ています。
おなかがすいたら、お母さんが用意してくれたごはんを冷蔵庫から出してきて、電子レンジでチンをして、あったかくして食べるのです。なんの味気もないごはんであっても胃袋は満たしてくれます。わたしみたいなものにとってはたいへんありがたいお食事です。いただきます、ごちそうさまでした。
食器をかたしてテーブルを片づけて洗い物を済ませたら、また椅子に座ってマウスをカチカチっと操作してエッチ動画を再生します。外はずっと雨、来る日も来る日もこうしてエッチ動画を見ながら、ただただ時が過ぎるのを待っているのです。雨が上がるのを待っているのです。南風がふいて、あったかい心地よい風が雨雲を吹き飛ばして、しめった土を乾かして鳥たちの声が聞こえてきたら、わたしはどこへ行こう、誰と、何をしよう、そんな事をふわーっと妄想しながら目の前のエッチ動画を見ながらしこしこしこしこと、今日も変わらぬ一日を過ごしているのです。

ああ、なんて安心なんだ、なにも変わらない、なにも心配することはない、なにもわたしをおびやかしはしない、なにもわたしに影響を与えたりはしない、昨日までのわたしとおなじわたし、今日のわたしがこれからも続いていく、何も変わらず、なにも。

変わるのは恐ろしいことよ、外の人たちはあなたに影響をおよぼして、あなたを変化させる、あなたがあなたでなくなっていってしまう、そんなことはさせないと、おかあさんはわたしを守ってくれました。ありがとうおかあさん、おかげでわたしは今もなにもかわらず、雨を眺めながらエッチ動画を見ています。

でもねおかあさん、エッチ動画に映っているおんなの人は、わたしにはしたことのない表情で笑っています、泣いています、楽しんでいます、悲しんでいます。エッチ動画にはおかあさんの教えてくれなかった何かが映っているんです、それは間違いないんです、そんな事を思いながら、窓の外では今日もかわらずしゃんしゃんしゃんしゃんと、だけどなぜだろうわたしの目からも涙がしゃんしゃんと溢れてくるのです。雨があがったら、どこへ行こう、誰と、何をしよう、今日もエッチ動画を見ながら考えるのです。